令和9年分から青色申告特別控除が75万円に!
適用要件と今から準備すべきこと
個人事業主・一人親方の皆さまへ ― タイムリミットは令和9年1月です ―

確定申告でおなじみの「青色申告特別控除」。令和8年度税制改正により、令和9年分の所得税から、最高額が65万円から75万円に引き上げられます。「10万円得をするのか、それはありがたい」――そう思われた方こそ、この記事を最後までお読みください。
というのも、今回の改正は何もしなくても自動的に控除が増える、という内容ではないからです。それどころか、準備をしないまま令和9年を迎えると、これまで55万円だった控除が10万円まで下がってしまう方が出てきます。差額は45万円。所得税・住民税・国民健康保険料まで含めれば、影響は決して小さくありません。
しかも、対応のタイムリミットは令和9年1月、その年の帳簿をつけ始める前です。確定申告の時期に気づいても、その年はもう間に合いません。今回は、何が変わり、今年(令和8年)のうちに何をしておけばよいのかを、順番に整理します。
令和9年分以後の青色申告特別控除は、次のようになります。
| 記帳方法 | 申告方法・追加要件 | 控除額 | 届出書 |
|---|---|---|---|
| 複式簿記 | ① e-Tax申告+② 優良な電子帳簿保存 | 75万円 | 必要 |
| 複式簿記 | ① e-Tax申告+③ 特定電子計算機処理システムによる電子取引データの保存(デジタルシームレス保存) | 75万円 | 必要 |
| 複式簿記 | ① e-Tax申告のみ | 65万円 | 不要 |
| 複式簿記 | 書面(紙)による申告 | 10万円 | 不要 |
| 簡易簿記 | 前々年分の事業所得・不動産所得に係る収入金額が1,000万円以下の場合に限る | 10万円 | 不要 |
この表で、まず目を留めていただきたいのは「55万円」という区分が消えていることです。従来は「複式簿記+書面申告」で55万円の控除が受けられましたが、これが廃止されます。e-Tax申告を要件に加えたうえで65万円に引き上げられる一方、紙のまま申告を続けると、複式簿記できちんと記帳していても控除は10万円。ここが今回の改正の最大の注意点です。
また、10万円控除(簡易簿記)についても、新たに収入金額の要件が設けられます。
今回の改正は、報道では「75万円に引上げ」と前向きに語られます。しかし実務の現場から見ると、本当に急ぐべきなのは、75万円を目指す方より、まだ紙で申告している方です。
この差は歴然です。「うちは今まで通りでいい」と考えている方ほど、実は一番大きな影響を受けます。まだe-Taxを使っていない方は、75万円の話は一旦置いておき、まず電子申告への切替えを最優先でご検討ください。
e-Tax申告に加えて、次の②か③のどちらかを満たすと75万円になります。
訂正・削除の履歴が残る形で帳簿を電子保存する方法です。ご自身の会計ソフトの設定だけで完結し、取引先の協力が要りません。現実的な選択肢は、ほぼこちらと考えてよいでしょう。
Peppol(デジタルインボイス)や銀行の決済データが、会計帳簿へ自動連携される仕組みが前提となります。取引先や金融機関側の対応状況に左右されるため、現時点で個人事業主の方が狙うには、まだ環境が整っていないケースが大半です。

ここが本記事で一番お伝えしたいところです。優良な電子帳簿は、その年の最初の記帳段階から一貫して要件を満たしている必要があります。年の途中からの切替えは認められません。
そして多くの会計ソフトでは、この設定ができるのはデータの新規作成時、または次年度への繰越時だけです。つまり、令和8年分から令和9年分へ繰り越す操作のときが、最後のチャンスになります。
「確定申告のときに顧問税理士に相談すればいい」――残念ながら、それでは手遅れです。令和10年3月に気づいても、令和9年分は75万円の適用を受けられません。
| ソフト区分 | 留意点 |
|---|---|
| 弥生会計(デスクトップ版) | 「優良な電子帳簿保存を行う」設定にすれば対応可能です。設定した年度は、仕訳・科目・部門の変更履歴がすべて自動保存されます。ただし、設定できるのはデータの新規作成時または次年度への繰越時のみで、年度の途中では変更できません。また、一度設定すると取り消せません。設定後は差分データの送受信ができなくなり、当事務所とのデータのやり取りは全データの送信・取込となります。なお、対象は[帳簿・伝票]メニューの機能に限られ、固定資産台帳等は対象外です。 |
| 手書き帳簿・Excel帳簿 | 訂正・削除の履歴が残らないため、要件を満たすことができません。e-Taxで申告しても控除額は65万円が上限となります。75万円を目指すのであれば、会計ソフトへの移行が必要です。 |
お使いのソフトが対応しているかどうかは、JIIMA(日本文書情報マネジメント協会)の「電子帳簿ソフト法的要件認証」を取得しているかが目安になります。国税庁ホームページのJIIMA認証情報リストでもご確認いただけます。旧バージョンのままでは対応していないこともありますので、バージョンアップの要否も併せてご確認ください。
要件を満たしていても、届出書を出していなければ65万円までしか控除できません。令和9年分の確定申告期限(令和10年3月16日)までに、所轄税務署長へ提出してください。
この届出書は初年度に一度提出すれば足り、取りやめの届出書を出すまで効力が続きます。毎年提出する必要はありませんので、ご安心ください。
| 時期 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 令和8年中(今ここ) | 対応ルートの決定/会計ソフトの導入・確認 | ここでの準備が本番。年内に環境を整える |
| 令和9年1月 | 会計ソフトで優良な電子帳簿の設定をオンにして記帳開始 | 年の途中からは切替不可。ここを逃すと令和9年分は適用不可 |
| 令和9年12月 | 年間を通じて要件を満たしていたかを点検 | 決算作業と併せて確認 |
| 令和10年2月〜3月 | 届出書の提出/e-Taxによる確定申告 | 申告期限(3月16日)までに届出書を提出 |
ご覧のとおり、年内にやるべきことが実質的な勝負どころです。会計ソフトの導入や乗換えを伴う場合、操作に慣れる時間も必要になりますので、10月・11月のうちに動き出しておくと安心です。

① 紙で申告している方は、控除が55万円から10万円へ。まずe-Taxへの切替えを。
② 75万円を狙うなら、令和9年1月の記帳開始前に会計ソフトの設定をオンに。年の途中からは変更できません。
③ 令和10年3月16日までに届出書の提出を。忘れると65万円止まりです。
「自分はどのルートで、何をすればよいのか」――ここが分かりにくいのが今回の改正です。判断を誤ると1年分の控除額が変わってしまいますので、早めにご確認ください。
笠原会計事務所は、兵庫県尼崎市で平成15年の開業以来、阪神間の中小企業・個人事業主の皆さまを支援してまいりました。建設業の税務・許認可は累計100件超、相続支援は累計200件超、税務調査対応は累計100件超の実績があります(いずれも開業以来の累計)。
今回の改正について、次のようなご相談を承っています。
当事務所では、準備状況を確認するためのチェックリストもご用意しています。「今の自分の状況で何が足りないか」を一緒に整理しますので、お気軽にお声がけください。
税理士・行政書士 笠原会計事務所 TEL 06-6438-5450(受付 9:00〜12:00/13:00〜18:00 平日) 兵庫県尼崎市武庫町3-25-22/駐車場あり(作業車・トラックでもお越しいただけます) 対応エリア:尼崎・西宮・伊丹・宝塚・芦屋・川西・神戸・大阪市 |
※本記事は令和8年8月現在の法令等に基づいて作成しています。今後の政令・省令・様式の整備により、内容が変更となる場合があります。

建設業の資金繰り改善方法
利益が出ているのに会社にお金が残らない理由とは?

「利益は出ているはずなのに、なぜか預金残高が増えない…」
これは、多くの建設会社の社長からご相談いただくお悩みです。
実際、決算書では黒字でも、資金繰りが厳しくなる会社は少なくありません。
建設業は、他の業種とは異なる資金の流れがあるためです。
この記事では、建設業の資金繰りが苦しくなる原因と、その改善方法について分かりやすく解説します。
建設業では、工事を受注してから完成・入金まで数か月かかることがあります。
一方で、その間にも次のような支払いが発生します。
• 職人さんへの外注費
• 従業員の給与
• 材料費
• 重機・車両のリース料
• ガソリン代
• 社会保険料
• 消費税や法人税
つまり、「まだ入金されていない工事」のために、先に多くの資金が必要になります。
そのため、利益が出ていても手元のお金が不足しやすいのが建設業の特徴です。

「売上は増えているのに利益が増えない。」
その原因は、現場ごとの利益を把握できていないことが多くあります。
例えば、
• 見積金額が適正だったのか
• 材料費が予定より増えていないか
• 外注費が膨らんでいないか
• 追加工事が請求できているか
これらを確認しなければ、利益の出ない工事を繰り返してしまいます。
建設業では、
「支払いは今月」
「入金は3か月後」
ということも珍しくありません。
このズレが大きくなるほど、資金繰りは厳しくなります。
決算の時だけ利益を見る会社では、問題に気付くのが遅くなります。
毎月の試算表を確認し、
• 売上
• 利益
• 現預金残高
• 借入金残高
• 工事原価
を継続的に把握することが重要です。
資金繰りが苦しくなってから銀行へ相談しても、融資が難しくなる場合があります。
普段から試算表や経営計画を共有し、銀行との信頼関係を築いておくことが大切です。

決算は年に1回ではありません。
毎月の数字を確認することで、
• 利益の変化
• 売掛金
• 買掛金
• 現金残高
を早めに把握できます。
工事別の原価管理を行い、
「利益が残る工事」
「利益が残らない工事」
を見える化しましょう。
利益率の高い仕事に力を入れることが、会社全体の利益改善につながります。
預金残高だけを見るのではなく、
今後3〜6か月程度の資金繰りを予測することが重要です。
資金繰り表があれば、
「いつ資金不足になるのか」
「いつ融資を相談すべきか」
が事前に分かります。
銀行は、数字を見せてくれる会社を高く評価します。
毎月の試算表や資金繰り表を定期的に提出することで、融資の相談もしやすくなります。
税理士の役割は、税金の計算だけではありません。
毎月の数字を一緒に確認し、
• 利益改善
• 資金繰り
• 原価管理
• 銀行融資
• 節税
まで相談できる税理士が、会社の成長を支える存在になります。

私たちは、申告書を作成するだけではなく、
「利益が会社に残る経営」をサポートしています。
毎月の試算表をもとに、
• 現場ごとの利益
• 資金繰り
• 銀行融資
• 節税対策
• 今後の経営方針
について、社長と一緒に考えます。
建設業で育った経験と、これまでの多くの建設会社支援の実績を活かし、経営者の立場に寄り添ったアドバイスを心掛けています。

「利益は出ているのに、お金が残らない。」
その原因は、税金だけではなく、資金の流れや利益管理の方法にあるかもしれません。
笠原会計事務所では、建設業の経営に精通した税理士・行政書士が、毎月の数字を分かりやすくご説明し、会社にお金が残る仕組みづくりをご支援しています。
資金繰りや銀行融資、建設業許可、経営事項審査(経審)なども含めて、ワンストップでサポートいたします。
まずはお気軽にご相談ください。
笠原会計事務所
電話 06-6438-5450
建設業の決算書、銀行員はここを見ている!
~融資が通る決算書の作り方~
![[融資]建設業の決算書、銀行員はここを見ている!](/library/69b8f955ee360410fc10f902/6a547c816736fa1898a6057e.png)
「売上はあるのに、なぜか融資が通らない…」
阪神間の建設業者様から、こうした相談を受けることがあります。
特に、
• 一人親方から法人成りしたばかり
• 元請け案件が増えてきた
• 人を増やしたい
• 重機・車両を購入したい
• 運転資金を確保したい
というタイミングでは、銀行融資が重要になります。
しかし実際には、
「決算書の内容」で、銀行評価は大きく変わります。
しかも建設業は、一般業種よりも銀行のチェックが厳しい業種です。
なぜなら、
• 工事ごとの利益変動が大きい
• 資金繰りが不安定になりやすい
• 外注費比率が高い
• 入金サイトが長い
という特徴があるからです。
この記事では、阪神間で建設業を営む方向けに、
• 銀行員が決算書のどこを見ているのか
• 建設業で融資が通りやすい会社の特徴
• 銀行評価を下げるNG決算
• 融資を受けやすくする決算書の作り方
を、税理士の視点からわかりやすく解説します。
建設業の社長様の中には、「売上は伸びているから大丈夫」
と思われている方も少なくありません。
ですが銀行が見ているのは、「この会社は、ちゃんと返済できるか?」です。
つまり重要なのは、
• どれだけ利益が残っているか
• お金が会社に残っているか
• 借入を返せる体力があるか
なのです。
銀行は決算書から、
• 収益性
• 安全性
• 資金繰り
• 将来性
を細かく分析しています。

銀行がまず見るのは、本業で利益が出ているかです。
建設業では、
• 売上は大きい
• でも利益がほとんど残っていない
という会社も珍しくありません。
特に注意されるのが、
• 値引き受注
• 原価管理不足
• 外注費の膨張
です。
銀行は「営業利益」を重視します。
本業で継続的に利益を出せている会社は、融資評価が高くなりやすいのです。
建設業融資で非常に重要なのが、自己資本比率です。
これは簡単に言うと、「会社にどれくらい体力があるか」を示す数字です。
一般的に建設業では、
• 15%以上で最低ライン
• 20〜30%以上で安心感
• 40%以上でかなり優良
という見られ方をすることがあります。
逆に、
• 赤字続き
• 借入過多
• 役員貸付金が多い
という会社は評価が下がりやすくなります。
建設業は、黒字倒産が起きやすい業種です。
理由はシンプルで、「利益が出ても入金が遅い」からです。
銀行は、
• 現金残高
• 預金推移
• 資金繰り
をかなり見ています。
特に阪神間では、
• 大規模修繕
• ゼネコン下請
• 公共工事
など、入金サイトが長い案件も少なくありません。
だからこそ、「利益」だけでなく「現金管理」が重要になります。
建設業特有で見られるのがここです。
銀行は、
• 売掛金が回収できそうか
• 未成工事が膨らみすぎていないか
• 工事進行が適切か
を確認します。
例えば、
• 特定の元請け依存が強い
• 入金遅延が多い
• 未回収債権が多い
場合は、融資評価が悪化することがあります。
実はここが非常に重要です。
建設業の社長様は、「税金を払いたくない」という理由で、
• 利益を極端に圧縮
• 決算直前に無理な経費計上
をしてしまうケースがあります。
しかし銀行からすると、「利益が出ていない会社」に見えてしまいます。
つまり、節税しすぎると、融資に不利になるのです。
阪神間で実際に銀行評価が高い建設会社には、共通点があります。

銀行は、「数字を把握している会社」を好みます。
逆に、
• 決算後にしか数字を見ない
• どんぶり経営
は非常に嫌われます
建設業は、
• どの現場で利益が出たか
• どこで赤字になったか
を管理できている会社ほど強いです。
銀行も、「管理能力がある会社」として評価します。
これはかなり重要です。
税金や社会保険の滞納は、「資金繰りが危険」というサインとして見られます。
建設業許可にも関わるため、銀行評価に直結します。
銀行が嫌う代表例です。
会社のお金が社長個人へ流れている状態なので、「会社と個人の区別が曖昧」と見られます。
「節税」のつもりでも、銀行から見ると、「利益を出せない会社」です。
特に今後、
• 設備投資
• 人材採用
• 元請化
を考えているなら、節税だけを優先するのは危険です。
実は銀行は、「社長が数字を理解しているか」をかなり見ています。
銀行面談で、「税理士に任せてるので分かりません」では評価が下がります。

建設業で融資が強い会社は、単に申告だけを頼んでいるわけではありません。
• 月次試算表
• 資金繰り
• 銀行提出資料
• 事業計画
• 借換戦略
まで含めて、税理士を活用しています。
特に阪神間では、
• 尼崎
• 西宮
• 神戸
• 宝塚
• 伊丹
など、地域金融機関との付き合い方も重要になります。
実際、「どの銀行に、どう見せるか」で融資結果が変わるケースも少なくありません。
昔は、「税金を減らす」ことが重視されていました。
しかし現在は、
• 人材不足
• 資材高騰
• 元請条件の厳格化
により、「資金調達できる会社」が強い時代です。
そのため、
• 黒字決算
• 適正利益
• 自己資本強化
を意識した経営が重要になっています。

建設業の融資では、「売上が大きい会社」よりも、「決算内容が健全な会社」が評価されます。
特に銀行は、
• 営業利益
• 自己資本比率
• 現預金
• 売掛金管理
• 資金繰り
を細かく見ています。
そして建設業は、
• 原価管理
• 未成工事
• 外注費
• 許可要件
など、一般業種とは違う特殊性があります。
だからこそ、「建設業に強い税理士」へ相談することで、
• 融資が通りやすい決算書
• 銀行評価を意識した利益設計
• 将来の資金調達戦略
まで見据えた経営が可能になります。
阪神間で、
• 融資を強化したい
• 銀行評価を上げたい
• 決算書を改善したい
という建設業者様は、一度“銀行目線”で決算書を見直してみることをおすすめします。
当事務所では、現在の決算内容をもとに、
• 銀行がどう見ているか
• 融資が通りやすい状態か
• どこを改善すべきか
を、建設業専門の視点でわかりやすくご説明しています。
阪神間で、
• 融資を受けたい
• 決算書を改善したい
• 法人化を検討している
• 建設業に強い税理士を探している
という方は、お気軽にご相談ください。
「今の決算書で銀行評価がどう見られているか」を知るだけでも、今後の経営判断は大きく変わります。
一人親方が法人化すべきタイミングは?
~年商と税金から逆算する判断基準~

阪神間で建設業を営む一人親方の方から、よくこんな相談をいただきます。
「そろそろ法人化した方が得ですか?」
「年商はいくらくらいから法人化を考えるべきですか?」
「税金が高すぎて、手元にお金が残りません…」
実は、“法人化した方がいい年商”には明確な基準があります。
ただし、単純に「売上〇〇万円を超えたら法人化」という話ではありません。
重要なのは、“どれだけ利益が残っているか”と“今後どう事業を伸ばしたいか”です。
この記事では、阪神間で建設業を営む一人親方の方向けに、
●法人化を検討すべき具体的な年商ライン
●個人事業と法人の税金の違い
●建設業特有の法人化メリット
●法人化で失敗するケース
を、税理士の視点からわかりやすく解説します。
まず最初にお伝えしたいのが、法人化の判断基準は「売上」だけではないということです。
例えば、
年商1,500万円でも利益200万円
年商1,000万円でも利益600万円
では、後者の方が法人化メリットは大きくなります。
なぜなら、法人化による最大のメリットは“税率の差”だからです。
個人事業の場合、利益が増えるほど所得税・住民税・国民健康保険料が重くなります。
特に建設業の一人親方は、
というケースも多く、気づけば税負担が非常に大きくなっていることがあります。

建設業の一人親方の場合、一般的には以下が一つの目安です
利益500〜700万円を超えてきたら要検討
ここでいう利益とは、売上 − 経費 のことです。
例えば、
というケース。
このあたりから、個人事業の累進課税がかなり重くなります。
特に阪神間では、
など、比較的単価の高い現場も多く、利益が出やすい建設業者様も少なくありません。
利益800万円を超えると、
を合わせた負担感が急激に大きくなるケースがあります。
そのため、「頑張って売上は増えたのに、お金が残らない」という状態になりやすいのです。
個人事業では、利益はすべて本人の所得になります。
一方、法人にすると、
に分けることができます。
これにより、税率をコントロールしやすくなります。
また、配偶者を役員にすることで、世帯全体の税負担を下げられるケースもあります。
一人親方の方が驚かれるのがここです。
個人事業では、利益が増えるほど国民健康保険料も高くなります。
年間で80万円〜100万円近くになるケースも珍しくありません。
法人化すると社会保険への加入になりますが、役員報酬を適切に設計することで、結果的に負担が抑えられるケースがあります。
特に、
場合は、法人化メリットが大きくなりやすいです。
法人化すると、
など、個人事業では扱いにくいものも活用しやすくなります。
建設業は車両・工具・現場移動など経費項目が多いため、法人化との相性が良い業種です。
阪神間の建設業界では、今でも
「法人の方が仕事を任せやすい」という元請け会社は少なくありません。
特に、
では、法人の方が有利になる場面があります。
また、人を雇う予定がある場合も、法人の方が採用面で有利です。

もちろん、全員が法人化すべきではありません。
例えば、
という場合は、無理に法人化しない方が良いケースもあります。
法人化すると、
など、固定コストと事務負担が増えます。
「節税になると聞いたから」だけで法人化すると、逆に手残りが減ることもあります。
阪神間でもよくあるのが、
「知り合いに言われて法人化した」というケースです。
しかし実際には、
まで考えずに法人化してしまい、「思ったよりお金が残らない…」となることがあります。
建設業は、一般業種とは違い、
など独特の論点が多くあります。
だからこそ、“建設業に強い税理士”への相談が重要になります。
本当に重要なのは、
「3年後、5年後にどういう会社にしたいか」です。
例えば、
のであれば、早めの法人化が有利になることもあります。
逆に、「今だけ節税したい」という考えだけでは、うまくいかないケースもあります。

法人化で得するかどうかは、実際にはケースバイケースです。
によって、結果は大きく変わります。
そのため、本来は「法人化したらいくら手元に残るのか?」を事前にシミュレーションすることが重要です。
阪神間の建設業では、同じ年商でも、
で最適解がまったく違います。
だからこそ、“建設業専門で数字が読める税理士”に相談することで、無駄な税金を防ぎながら、将来の事業設計まで見据えた判断ができるようになります。
一人親方が法人化を検討すべきタイミングは、
「年商」よりも「利益」が重要です。
特に、
という方は、法人化によって大きく状況が改善する可能性があります。
一方で、法人化は“節税テクニック”ではなく、経営戦略の一つです。
だからこそ、「自分の場合、本当に法人化した方が得なのか?」
を、建設業に強い税理士と一緒に確認することが重要です。
阪神間で建設業を営む一人親方の方で、
という方は、一度シミュレーションしてみるだけでも、今後の経営判断が大きく変わるはずです。
法人化は、一人親方にとって人生の大きな転機です。「税金が安くなるから」という理由だけで飛びつくのも危険ですし、「手続が面倒だから」と先延ばしにして元請から切られるのも避けなければなりません。
まずは、直近2年分の「確定申告書」と「青色申告決算書(または収支内訳書)」を握りしめて、当事務所の無料相談(事前予約必要)にお越しください。
「あなたの場合は、今法人化するとこれだけ手残り金額が変わります」
「今のままだと、2割特例が終わった後にこれだけ消費税が増えます」
というリアルな数字を、その場でシミュレーションいたします。現場の愚痴や、元請さんとの関係性のお悩みだけでも構いません。阪神間で頑張る職人スピリッツを持った皆様からのご相談を、心よりお待ちしております。
2026年04月06日建設業の税務・外注費・インボイス:税務
子育て支援の財源確保のための新しい仕組みとして、令和8年4月分の医療保険料から「子ども・子育て支援金制度」が始まります。
この支援金は、医療保険料とあわせて毎月、従業員の給与から徴収(天引き)されるため、企業の実務にも影響があります。今回は制度の概要と、企業実務への影響について整理します。
本制度は、児童手当や育休給付の拡充など、子育て支援に必要な財源を確保するため、令和8年4月分から医療保険料とあわせて徴収されるものです。
SNS等では「独身税」といった表現も見られますが、新たな税金ではありません。また、独身者のみが負担する制度でもありません。
独身者や子育てを終えた人、高齢者を含め、すべての世代が所得に応じて負担する仕組みです。社会全体で子どもを育て、その子どもたちが将来、社会を支えていくという循環を守ることを目的としています。
なお、徴収された支援金の使途は子育て支援関係に限定され、他の目的に流用されることはありません。
支援金は、加入している医療保険制度ごとに金額が決まります。
対象となる医療保険制度は以下のとおりです。
● 被用者保険(健康保険組合、協会けんぽ など)
● 国民健康保険(市町村)
● 後期高齢者医療制度
被用者保険の場合は、標準報酬月額に支援金率(令和8年度は0.23%)を乗じた金額を、従業員と事業主が折半します。
● 毎月の給与から天引き
● 賞与支給時には賞与からも徴収
という形で徴収されます。
「子ども・子育て支援金」は事業主と従業員で折半するため、企業側にも新たな費用負担が発生します。
また、
● 従業員の標準報酬月額に応じた支援金額の算定
● 徴収額の管理
● 給与明細への表示
● 保険料率等の設定変更
など、事務手続きの増加も想定されます。
給与明細への内訳表示(支援金額の追加)は法令上必須ではありませんが、従業員の理解促進や周知のためには、明細に表示することが望ましいといえます。

弥生給与の計算機能では、「子ども・子育て支援金」に対応しており、保険料率も自動でセットされるため、原則として手入力の必要はありません。
2026年04月09日労務・社会保険:社保