今月の特集(令和8年10月)

建設業許可の決算変更届を自分でやる方法とプロに頼むべきケース

「税務申告が終わったので、今年の決算手続きはすべて完了」と思っていませんか。建設業許可を受けている事業者は、税務署への申告とは別に、毎事業年度終了後4か月以内に決算内容を許可行政庁へ届け出る必要があります。これが一般に「決算変更届」と呼ばれる手続きです。行政庁によっては「事業年度終了届」や「決算報告」と呼ばれることもあります。

結論から申し上げると、工事件数が少なく、許可業種ごとの売上区分が明確で、経営事項審査を受ける予定がない会社であれば、自社で提出することも可能です。一方、過年度分が未提出、更新期限が近い、複数業種の売上が混在している、公共工事を目指している、といった場合は、早めに専門家へ相談する方が安全です。


建設業許可の決算変更届を自分でやる方法とプロに頼むべきケース

この記事のポイント

難しいのは書類を提出すること自体ではありません。
税務申告用の決算書を建設業法の様式へ正しく組み替え、工事経歴書・許可業種別売上・財務諸表の数字を一致させることが最も重要です。

1.決算変更届は、いつまでに提出するのか

提出期限は、毎事業年度終了後4か月以内です。例えば、3月31日決算の法人は7月31日まで、12月31日が事業年度末の個人事業主は翌年4月30日までが目安となります。決算変更届は、工事がなかった年や赤字の年も、毎年提出が必要です。
税務申告の期限と似ているため混同されがちですが、建設業許可上の手続きは別に管理しなければなりません。税務申告が終わったら、すぐに決算変更届の準備へ進むよう社内スケジュールを決めておくと安心です。


・提出しないまま放置するとどうなる?

  • 許可更新の前に、未提出の過年度分をまとめて提出する必要が生じる
  • 更新・業種追加・許可区分の変更などの手続きが進められないことがある
  • 経営事項審査を受けられず、公共工事の入札参加に影響することがある
  • 罰金刑等の対象となる場合や、改善されなければ監督処分につながる可能性がある

兵庫県は、更新申請の前に未提出の過年度分をすべて提出するよう案内しています。期限を過ぎていることに気づいた場合も、更新まで待たず、早めに提出準備を始めましょう。


2. 決算変更届で一般的に必要となる書類

法人か個人か、知事許可か大臣許可か、さらに提出先の取扱いによって必要書類は異なります。兵庫県・大阪府の知事許可で一般的に準備する書類は、次のとおりです。


区分主な書類注意点
共通変更届出書/工事経歴書/直前3年の各事業年度における工事施工金額許可業種ごとに、工事実績と完成工事高を整理します。
法人貸借対照表/損益計算書・完成工事原価報告書/株主資本等変動計算書/注記表税務申告用決算書をそのまま添付するのではなく、所定様式へ組み替えます。
一定の株式会社附属明細表資本金1億円超、または直前決算の負債合計200億円以上などの場合に必要です。
株式会社事業報告書提出先の案内に従い、会社法に基づく事業報告書を添付します。
個人貸借対照表/損益計算書個人用の所定様式で作成します。
法人・個人事業税の納税証明書知事許可では、通常は法人事業税または個人事業税の証明書です。証明書の種類・発行時期を確認します。
変更がある場合使用人数/令第3条使用人一覧/定款/健康保険等の加入状況など決算変更届と同時に出せる変更と、別期限で提出すべき変更を区別します。

注意:必要書類・様式・提出方法は改定されることがあります。必ず提出時点の許可行政庁の手引きを確認してください。

3. 自分で決算変更届を作成・提出する7つの手順

STEP1 提出先と許可区分を確認する

許可通知書で、兵庫県知事許可・大阪府知事許可・国土交通大臣許可のどれに当たるかを確認します。兵庫県知事許可の場合は、本店所在地を管轄する土木事務所が提出先です。尼崎市・西宮市・芦屋市は西宮土木事務所、伊丹市・宝塚市・川西市などは宝塚土木事務所が所管します。

STEP2 最新版の様式と前年度の控えをそろえる

行政庁のホームページから最新様式を入手します。古い様式を使うと補正になることがあります。前年度の決算変更届控えも用意し、会社情報、許可業種、前期以前の施工金額とのつながりを確認します。

STEP3 完成工事の一覧を許可業種ごとに整理する

請求書、工事台帳、注文書、工事請負契約書などから、事業年度中に完成した工事を抽出します。工事名、注文者、工事場所、請負代金、着工・完成年月、配置技術者などを整理し、どの許可業種の工事として計上するかを判断します。

STEP4 工事経歴書と直前3年の施工金額を作成する

工事経歴書は、許可を受けた建設工事の種類ごとに作成します。経営事項審査を受ける場合と受けない場合では、記載する工事の選び方や順序が異なります。工事実績がない許可業種についても、省略せず「受注実績なし」など提出先の記載要領に従います。

STEP5 建設業法様式の財務諸表へ組み替える

税務申告用の決算書を基礎に、建設業法で定められた科目へ組み替えます。完成工事高と兼業事業売上高、完成工事原価と兼業事業売上原価、未成工事支出金などの区分が重要です。ここで工事経歴書・施工金額・損益計算書の数字が一致しているか確認します。

STEP6 変更事項と納税証明書を確認する

使用人数、営業所長、定款、社会保険等の加入状況などに変更がないか確認します。また、知事許可の場合は通常、都道府県税事務所で事業税の納税証明書を取得します。大阪府では、個人事業主の提出時期により確定申告書の写しで代替する取扱いがあります。

STEP7 提出し、受付済みの控えを保管する

正本・副本の部数、持参・郵送・電子申請の可否を確認して提出します。兵庫県ではJCIPによる電子申請も利用できます。提出後は受付済みの控えや電子申請の完了資料を、次回の決算変更届・更新申請・経営事項審査に備えて保管してください。

3. 自分で決算変更届を作成・提出する7つの手順

4.自分で行うときに多い8つのミス

  • 税務申告書に付けた貸借対照表・損益計算書を、そのまま提出しようとする
  • 兼業売上を含む総売上高を、すべて完成工事高として記載する
  • 許可業種別の工事経歴書・施工金額・損益計算書の数字が一致していない
  • 当期に工事実績がない許可業種の工事経歴書を作成しない
  • 未成工事支出金や未成工事受入金の区分を誤る
  • 納税証明書の税目・年度・有効な発行時期を間違える
  • 役員、所在地、営業所、営業所技術者等の別の変更届を見落とす
  • 古い様式で提出する、または受付済み控えを残していない



特に注意したい数字の一致

工事経歴書に記載した工事、直前3年の施工金額、損益計算書の完成工事高は、同じ根拠資料から作成し、相互に整合している必要があります。経営事項審査を予定している場合、この整合確認はより重要になります。

5.自分で手続きしやすいケース

  • 許可業種が1つまたは少数で、業種区分に迷わない
  • 年間の工事件数が少なく、工事台帳や請求書が整理されている
  • 建設工事以外の売上がほとんどなく、兼業売上との区分が明確
  • 過年度の決算変更届を毎年期限内に提出している
  • 役員・営業所・営業所技術者等に未届の変更がない
  • 経営事項審査や公共工事の入札参加を予定していない
  • 期限までに書類作成と行政庁への確認を行う時間がある

このような会社であれば、前年度の控えと最新の手引きを見比べながら、自社で進められる可能性があります。ただし、前年度の内容が正しいことを前提にせず、毎年の事業内容と数字を改めて確認しましょう。


6.行政書士などのプロに頼むべきケース

  • 過年度分が未提出:複数年の工事経歴と財務諸表を復元し、更新申請までの順序を組み立てる必要があります。
  • 更新期限・経審の期限が近い:補正が生じるとスケジュールに影響します。必要書類を早く確定することが重要です。
  • 許可業種が複数:1件の工事をどの業種に区分するか、附帯工事をどう扱うかなど専門判断が増えます。
  • 建設業以外の売上も多い:完成工事高と兼業事業売上高、各原価の区分を正しく組み替える必要があります。
  • 経営事項審査を受ける:工事経歴書の記載順、完成工事高、技術職員、経営状況分析まで一連の整合が必要です。
  • 役員・所在地・営業所等にも変更がある:決算変更届とは別の提出期限が定められている届出があるため、漏れをまとめて点検します。
  • 初めての決算変更届:最初に正しい作り方と資料の残し方を整えると、翌年以降の負担を減らせます。
  • 本業が忙しく時間を確保できない:期限管理、様式作成、提出、控えの整理まで任せることで、現場や営業に集中できます。


6.行政書士などのプロに頼むべきケース

自分でやるか、依頼するかの判断表

判断項目自分で進めやすい依頼を検討したい
許可業種1業種・区分明確複数業種・判断に迷う
工事件数・資料少数・工事台帳が整理済み多数・請求書から復元が必要
売上構成ほぼ建設工事のみ兼業売上が多い
提出状況毎年提出済み未提出年度がある
今後の予定経審予定なし更新・業種追加・経審が近い
社内時間期限まで十分ある現場優先で時間が取れない

7.笠原会計事務所なら、決算から許可手続きまでワンストップ

決算変更届では、税務申告用の決算書と建設業許可用の財務諸表を一致させながら、建設業特有の科目へ適切に組み替える必要があります。税理士と行政書士が別々の場合、同じ資料を二度説明したり、完成工事高や原価区分の確認に時間がかかったりすることがあります。

笠原会計事務所・笠原行政書士事務所では、税務・会計と建設業許可業務を同じ窓口で対応できます。決算書の内容を理解したうえで、決算変更届、許可更新、業種追加、経営事項審査、資金繰り・融資まで一体でサポートします。

  • 税務申告用決算書と建設業法財務諸表の整合を確認できる
  • 工事経歴書と許可業種別完成工事高の整理を支援できる
  • 決算変更届と、更新・業種追加・経営事項審査の予定をまとめて管理できる
  • 建設業の数字を、銀行融資や経営改善にもつなげられる
  • 尼崎・西宮・伊丹・宝塚・芦屋を中心に、兵庫県・大阪府の事業者へ対応できる



まずは、この4点があればご相談いただけます

1.建設業許可通知書 2.前年の決算変更届控え 3.今期の決算書・申告書 4.今期に完成した主な工事の一覧。
資料が全部そろっていなくても、未提出年度や期限を確認するところからご相談いただけます。


決算変更届でお困りの方は、初回無料相談をご利用ください

「自分でできるかだけ聞きたい」「過去何年分が未提出かわからない」「更新が近い」「経審も見据えて相談したい」という段階でも結構です。現在の状況を確認し、自社対応が可能か、専門家へ依頼した方がよいかを分かりやすくご説明します。


笠原会計事務所・笠原行政書士事務所


初回相談無料 TEL 06-6438-5450 | 電話受付:平日 9:00~12:00/13:00~17:00


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よくあるご質問

  • Q1.その年に工事が1件もなくても提出が必要ですか?

    はい。建設業許可を受けている間は、工事実績がない年度も決算変更届を提出します。工事経歴書は、提出先の記載要領に従い「受注実績なし」などと記載します。

  • Q2.税務署へ出した決算書をコピーして添付すればよいですか?

    原則として、それだけでは足りません。建設業法の所定様式へ組み替え、完成工事高、完成工事原価、兼業売上、未成工事支出金などを適切に区分する必要があります。

  • Q3.期限を過ぎてしまいました。更新時にまとめて出せばよいですか?

    更新まで待たず、できるだけ早く未提出年度を確認して提出してください。兵庫県では、更新申請の前に過年度分をすべて提出するよう案内されています。

  • Q4.電子申請はできますか?

    兵庫県では、JCIP(建設業許可・経営事項審査電子申請システム)による各種変更届出が利用できます。利用準備や添付データの作成が必要ですので、最新の公式案内をご確認ください。

  • Q5.税理士へ決算を頼んでいれば、決算変更届も自動的に提出されますか?

    税務申告と建設業許可の届出は別の手続きです。顧問契約や業務範囲に決算変更届が含まれているかを確認してください。当事務所では税理士・行政書士業務を同じ窓口でご相談いただけます。


よくあるご質問

公式情報・参考リンク

※本記事は2026年8月16日時点の一般的な情報をもとに作成しています。個別の必要書類や取扱いは、許可区分、法人・個人の別、提出先、経営事項審査の有無などで異なります。実際の手続きでは最新の法令・手引き・行政庁の案内をご確認ください。